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犬や猫の睡眠時間

ペットシッターの仕事は、体が資本です。
ありがたいことに、夏休みや年末年始などの繁忙シーズンには、たくさんのご依頼をいただきます。1日10件や15件以上お世話に伺うことも、珍しくありません。

もちろん、どんなに忙しくても、シッターを待つペットたちには普段通り、最大限の愛情と注意を持ってお世話させていただきますので、猫の手を借りたいくらい忙しくても、決して手を抜くようなことはありません。

とはいえ、気持ちも張っている分、どうしても疲労は蓄積していきます。
疲労回復には、栄養休養が何より大切であり、これは人も動物も同じですね。

特にペットたちは、よく寝ます。
そこで今回は、『犬猫の睡眠時間』について見ていきたいと思います。  

 

その前に、『隠れ疲労』って何?


ペットシッターに限らず、人様のお宅に伺って行うお仕事には、当たり前ですが相応の「倫理観」「責任観」が求められます。
そして、責任感が強く真面目な性格の人ほど、「まだ大丈夫」「これぐらい普通」と、どんなに忙しくても自分にプレッシャーを与え、正直な体の『疲れた』という信号が、脳に『正しい情報』として送られないことがあります。
体はひどく疲れているはずなのに、脳は疲れを感じない“隠れ疲労”の状態を引き起こしてしまうのです。

 

『隠れ疲労』は動物も起こす?


この隠れ疲労は、例えば“責任感”という概念がある、高度な精神構造の人間だからこそ起きる症状で、理性より「本能」に従い行動する動物は起こしません。
例えばライオンは“生きる”ために獲物を追いかけていても、体の疲れを感じたらぴたっとやめてしまい、疲労回復に努めます。結果が分からず「頑張る」ことと、激しく体力を消耗することで次のチャンスを逸する(=死)ことを天秤にかけた結果でしょう。その逆に、食欲が満たされた満腹時には、目の前を獲物が通っても見向きもしません。それだけ“疲労感”や“食欲”といった本能に忠実に行動するため、動物は間違っても人間のような『過労死』を起こすようなことはありません。  

 

一日の大半を眠って過ごす肉食動物たち

前述のように、動物は基本的に「疲労」に対し敏感です。
特に野生の肉食動物の場合はその傾向が顕著で、食べていない時間は日がな一日ぼけーっと休んでばかりです。
厳しい自然界を生きる上で“体力を無駄に消耗しない”ということは、もはや鉄則とさえいえます。

人間のように仕事や趣味があるわけではありませんので、すごくざっくり言ってしまえば、エネルギーを使う活動は「食事」か「繁殖」と、それに伴う縄張り・攻撃・求愛行動くらいなものです。
それ以外のときは、動物たちはひたすら体を休めて、体力を温存しています。  

 

犬や猫は平均何時間寝る?


犬や猫もDNAに刻まれた睡眠本能は基本的に変わらず、人間が一日の約三分の一を睡眠に費やすのに対し、犬猫は一日の約二分の一を寝て過ごします。
『寝る子は育つ』というのはペットも同じで、“成長ホルモン”は睡眠時に最も多く分泌されるため、幼犬・幼猫の成長期(~1歳)には、犬で18~19時間、猫では20時間以上寝るようなことも珍しくありません。
特に猫は大人になってからも14~16時間近く寝ますので、名前の由来が「寝子」からきたという説があるのも頷けるほどです。
また英語では「うたた寝」のことをcatnapと言うくらいですから、猫=眠るというイメージが世界共通なことが分かりますね。  

 

成長した犬猫たちの睡眠スタイル


1歳を過ぎた成犬期では、犬の平均睡眠時間は11~14時間ほどといわれています。
ただし、小型犬に比べ大型犬(それも超大型犬)の場合は、さらに多くの睡眠を必要とします。
といっても、ご存知のように、犬猫は私達のように日中は活動して夜だけ眠る、という生活スタイルではありませんので、朝でも昼でも隙さえあればすぐに眠り、あくまで『睡眠時間』はそれらの合計ということになります。

特に単独ハンターである猫は、狩りをしやすい夜に備え、明るいうちはたっぷり寝てエネルギーを蓄えるという習性がありますが、無論人間との生活に“狩り”は必要ありませんので、結果的に飼主に合わせて夜も眠れば、日中もうとうと眠るという羨ましい生活を身につけました。
ちなみに、ぽかぽかと日当りのいい場所を好んで眠る猫は実に気持ちよさそうですが、雨の日の猫は、晴れの日以上に良く眠ると感じたことはありませんか?
実際に狩りをする機会がなくなったとはいえ、その本能は残っていますので、視界も悪く狩りには適さず、加えて体が濡れて体温を奪う‐場合によってはそれが原因で死を招きかねない‐「雨」に対しては、猫はもともと苦手意識を持っています。
そのため、雨の日は極力動かず、じっとしている(=寝る)ことが多くなるのです。  

 

老後に増える睡眠時間


シニア期に入ると、犬も猫も少しずつ睡眠時間が増え、やがては幼少期と同じくらい眠るようになります。高齢による体力の衰えから、若い頃と比べても疲れやすくなり、疲労に敏感な犬猫は必然的に多くの休息時間を必要とするようになります。
犬や猫には自分のペースがありますので、「寝てばかりいたら老けこんじゃう」なんて無理にちょっかいを出したり、構いすぎて安眠を妨げないよう注意しましょう。お散歩や遊びなどのONの時間に、しっかりと適度な運動をさせてあげれば十分です。

人間感覚だと、“よく寝る=怠惰、ものぐさ”といった負のイメージもあったりしますが、ペットから見れば“人間が寝なさ過ぎ”なだけです。
それに、ゆっくり眠れるなんて、実はとても贅沢で幸せなことなのかもしれません。
飼い猫に比べて寿命が短いとされる野良猫は、もちろん栄養不足や病気になっても治療できないなどのこともありますが、実は睡眠不足も原因のひとつだといわれています。

お腹を見せて無防備に眠るペットたちの姿に癒されるのも、そこに絶対の信頼・安心感を感じているからなのかもしれませんね。  

 

お留守番も安眠できるペットシッター

お留守番中のペットは、多くの場合眠っています。
ペットシッターでお伺いすると、起きたての顔で口の周りに寝癖(?)を作ってお出迎えしてくれたり、場合によっては寝たまま迎えてくれることも(笑)

飼主さんを待つ間の『お留守番』は寂しいかもしれませんが、でも、住み慣れた普段通りの環境で眠って過ごせるというのは、ペットにとってとても幸せなことです。

ペットシッターと楽しいひとときを過ごし、満足してまたぐっすり眠ってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

 

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