野生動物ではほとんど見られない“アレルギー”も、人間と共に清潔な環境で暮らすペットには、様々な要因から見られるようになりました。
人間にも辛いアレルギー。ただ人は自分で食べ物を選んだりマスクをしたり対策ができますが、ペットの場合はそうもいきません。
ペットシッターSOSでは、お世話のペットにアレルギーがある場合は、打合せで確認した注意事項に沿って十分配慮してお世話にあたっております。
今回のテーマはそんな「ペットのアレルギー」です。
アレルギーとは?
アレルギー【(ドイツ)Allergie】
1 生体が特定の物質(抗原)に対して抗体を作り、再び同じ抗原が入ってきたときに起こる抗原抗体反応のうち、病的な過敏反応のこと。
2 ある物事に対する精神的な拒絶反応。
動物の体には本来、異物に対して攻撃する力-免疫力が備わっています。
その“免疫反応”が、「特定のもの」にだけ過剰に反応してしまい、逆に自らの体に不利益をもたらすことをアレルギーといいます。
そしてその「特定のもの」を抗原(アレルゲン)と言い、人間のみならず、犬や猫などのペットにもこうしたアレルギー反応は起こり得ます。
抗原が攻めてきたとき、適確な陣営で「打ち方用意~!」と確実にバンバン撃ち破る免疫隊が、たった一人の反逆者に対し「ひえ==、来たーー、援軍を要請する!ただちに救援を~」と早くも取り乱した指導者を欠き、押し寄せた大軍勢の免疫隊で乱射して味方同士を傷つけあうような感じでしょうか。
日本人の約3人に1人が何らかのアレルギーをもっていると言われ、花粉症患者も年々増加の一途をたどる現代社会。ペットの世界における“アレルギー問題”を見てみましょう。
犬や猫のアレルギー
犬、猫のアレルギーは
①遺伝(体質)
②ノミやダニ
③ハウスダストや花粉
④食事中に含まれる特定のタンパク質
といった原因が主で、「食物アレルギー」、「ノミアレルギー性皮膚炎」、「接触性アレルギー」、「アトピー」などがよく耳にするところだと思います。
特に暖かい時期は、ノミやダニなどの活動も活発になるため、アレルギー性皮膚炎に悩まされるペットも多くなります。好んで草むらなどを歩くワンちゃんの場合には、お散歩後のブラッシングを入念に行い、できるだけ害虫を室内に持ち込まないようにしたいところですね。
長毛種をブラッシングをする際、お散歩で小枝などが毛に絡まっていると、ブラシで引っ張って痛い思いをさせてしまうことがあります。まずは犬のお腹や脚周りを触診して、大きなゴミは手で取り除いてからブラッシングをかけるようにしましょう。
アレルギーの原因とペットの反応
アレルギーの原因(アレルゲン)はペットの場合も人と同様たくさんあり、その症状も皮膚炎、鼻炎、気管支炎、結膜炎、腸炎など様々ですが、大抵は皮膚に強いかゆみを覚え、顔の周りを執拗になでる、掻きむしる、体を噛む、などの行動をします。
また外観的にも脱毛、発疹、ぶつぶつなどが顕著ですので、飼主さんも他の病気に比べて気付きやすいのが特長です。
よく、清潔すぎる家庭の子供はアトピーになりやすい、と言いませんか?
私たち人間の生活環境も、昔と比べれば確かに清潔になりました。でもそれは化学薬品などのおかげで“見た目上”清潔になったにすぎず、大気汚染や空気中の化学物質、食事の脂肪や冷暖房の普及といった近代文明の環境によって、我々自身の体がより弱くなり、そのため免疫異常を起こしているとも言えるのです。
ペットのアレルギーも、つまりは人間と生活を共にしているところから始まり、それが証拠に野生の動物には、まずアレルギーは見られません。まさにこれもペットの現代病と言えるでしょう。
では、犬や猫の代表的なアレルギーについて見てみましょう。
色々なアレルギー
『ノミアレルギー』
アレルゲンはノミの唾液。
ノミに喰われた位置にかかわらず首の回り、背中や腰周りに皮膚炎を起こし、かきむしるようにかゆがります。
たった1匹のノミに吸血されただけでも全身にアレルギー反応を起こすこともある、いわばアレルギーの代表のようなものです。
皮膚病変に対する治療と同時に、環境やペットに対するノミの駆除が必要。
『食物アレルギー』
食べ物の中に含まれるタンパク質や炭水化物がアレルゲン。
原因となる主な食べ物は牛肉、牛乳、チーズ、豚肉、大豆などですが、それ以外にも個体によって様々。最近では着色料や酸化防止剤、人工香料などの合成添加物がアレルギーを誘発するケースも増えています。
アレルギー全体の中での“食物アレルギー”の割合は多い方ではありませんが、ペットは人間よりも肝臓や腎臓などの臓器が小さいため、フードに含まれるわずかな成分や化学物質にも敏感に反応してしまうということを忘れてはいけません。
粗悪なペットフードを与えてアレルギー性皮膚炎を起こしているようなら、一度ペットフードの見直しを検討しましょう。
栄養バランスを考慮する必要はありますが、手作り食に変えてピタッと治った、というケースも少なくありません。
『接触性アレルギー』
身の回りにあるあらゆるものがアレルゲンとなります。プラスチックやステンレスの食器に反応してしまうコは顎や口の周りに皮膚炎を起こし、じゅうたんや毛布、首輪やシャンプーなどがアレルゲンの場合にも、接触した部位を中心に症状が出ます。
『アトピー性皮膚炎』
一般的なアレルゲンはダニやハウスダスト、カビや花粉ですが、特にイエダニは、たとえ死骸や体の小さな一部分でも強く反応してしまうなど、アレルギー疾患を引き起こす最大のアレルゲンといえるでしょう。
ダニが生息しやすい畳やカーペットの掃除をこまめに、ダニの餌となるホコリ、湿気のたまりやすい場所などにも目を光らせたいところです。
アトピー性皮膚炎になりやすいのはシーズー、柴犬、ゴールデンレトリバーなどですので、普段から衛生面に気をつけたいですね。
アレルギーの予防と対策
アレルギーの治療は、アレルゲンの特定から。
ときとして長期にわたり病状と向き合っていかなければならないことも多く、飼主さんにとっても非常に根気がいります。
治療法によってはリスクを伴うものもありますので、ペットに少しでもアレルギー症状が見られたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。
これからの時期は特にハウスダスト、ノミ、ダニの予防や駆除、散歩後のブラッシングなどに気をつけたいですね。
アレルギーの語源は「allos(アロス)=変化する」と「ergo(エルゴ)=作用・能力」を合わせた、「変わった能力」「普通じゃない力」です。これだけ見ると、JOJOファンの私は何だか特別な能力のように感じドキドキしてしまいますが、ペットにかかわらず、花粉症やアレルギー性結膜炎など、実際は文字通り“涙なくして”は語れないほど当人には辛いものです。
そして症状を訴えられないペットにとって、また自らフードを選んだり環境を改善することのできない動物にとっては、もっと辛いものです。
睡眠・ストレス・栄養など、アレルギー症状を引き起こす要因には色々関わってきますので、トータル的なペットケアと日頃のスキンシップで、アレルギーを遠ざけ、何かあっても早期に改善させてあげましょう。