老犬になれば、関節の可動域や筋力の低下(犬は後ろ脚から衰えていきます)などから、これまで普通にできていたことが、どうしても思い通りにできなくなることが出てきます。
「ここが不自由」「もっとこうしてくれたら」と言葉で伝えることのできないペットのために、ペットシッターとして気を掛けてあげることはたくさんあります。
何歳になったら老犬用のサポートが必要なのか?
しかし、何を持って“老犬”と判断するかは、難しいところです。
人間でも80歳を超えてフルマラソンを完走する人もいれば、まだ若いのに全くと言っていいほど体力のない人もいますので、一概に年齢だけで言えることではありません。
老化はある日突然訪れるわけではなく、日々少しずつ変化していきますので、飼い主さんも多少年齢的なものを感じていたとしても、なかなか“これまで通りの習慣”を変えられないこともあるでしょう。
むしろ症状が現れる前から、“年齢だけで過度な介護サポート(甘やかし)”をしてしまうと、それはそれで老化を助長させてしまうことにもなりかねません。
高齢犬に見合ったお散歩アイテムとは?
若いころと同じ『首輪にリード』というスタイルでお散歩を続けることも、犬がまだしっかり歩けているうちは全く問題ないでしょう。しかし、ふらつきが見られるようになったり、少しの段差につまずくようになったなら、やはり犬の体を広い範囲で支えられるハーネスやウォーキングベルトなどに変えてあげるのが理想です。
「多少ふらつくけど、まだまだリードと首輪で大丈夫」という場合は、ぜひリードの持ち方や、その長さに気をつけてください。
犬がふらついたりつまずいたとき、リードが緩んでいればそのまま転んでケガをさせてしまうこともあります。地面と衝突させないまでも、支えようとしてピンと張った反動で、犬の首に大きな負担を与えてしまいます。
首輪とリードで犬を補助する方法
足腰が弱ってふらつきを見せる犬の場合は、苦しくない程度にリードを張った状態で、できるだけ犬の近くを歩くようにしましょう。
また、お散歩中にふらつきが目立ったり、つまずくようなケースが顕著なら、その他にもお散歩の後半で疲れて動きが緩慢になったり、歩きたがらず立ち止まってしまうようなことがあれば、以下のような方法で簡易的なサポートをすることもできます。
犬の背中からリードを回し、足の間に通す。通した先端(リードの持ち手)と背中側のリードを両手で持って、犬の体全体を持ち上げるようにする
このようにリードを胸の下に通すことで、上半身を支えるハーネスのような役割を果たし、犬の歩行をサポートします。この方法は、老犬に限らず犬がストライキ(?)を起こして「そっちへ行かないよ」と踏んばったり腰を下ろしてしまうようなときにも、強制的にそこから動かすことができ有効です。
ただし、この方法を行う場合は150cm以上のリードの長さが必要(写真は180cm)ですから、もしそれに足りない場合は、予備のリードと交換したりつなげ足したりして長さを調整しましょう。
後書き
犬は、いくつになってもお散歩が大好きです。
また人間にとっても、“歩く”ことは心身の健康に大変有益ですから、ぜひ続けていきたい習慣のひとつですね。
ちなみに、あのApple創始者ジョブス氏も、大事な話をするときは必ず相手を散歩に誘ったといいます。同じ方向、同じ景色を共感しながら“歩く”ということは、心理的な距離感をぐっと縮める効果があることを知っていたのですね。
ぜひ皆様も、何歳になってもワンちゃんとの“散歩=対話”を楽しんでください。
by 倉西