ペットを飼うことには、当然のことながら「お金」がかかります。
毎日の食費はもちろん、病気をすれば治療や入院代もかかりますし、オモチャやトリミング、その他様々な飼育のための費用が発生します。
ペットシッターのサービスも、その中の一つです。
私たちペットシッターは、ペットの安全で快適なお留守番のサポートを提供し、その対価としてお客様からお世話料金をいただいております。
このようにペットとは切り離せないお金、いえ人間社会の基盤となるお金と動物の関係についてまとめてみました。
お金の役割について
まず、お金の役割について考えてみましょう。
お金の登場以前、人々は物々交換を行っていました。余った食べ物や道具を他のものと交換するというものですが、これはとても理に適っていて、例えば動物の世界でも相利共生というものがあります。アリはアブラムシから分泌される甘い蜜をもらう代わりに、アブラムシの天敵であるテントウムシを追い払って守ってあげることで、互いに利益を得る関係を築いています。
しかし、知能の高い人間の物々交換には限界があり、その運搬にも苦労しました。それに自然の影響も今以上に受けたことでしょうし、収穫できる時期などによっても、「魚は持っているけど果物が欲しい」「いや魚はいらないよ穀物がほしいから」といったように、取引が成立しないケースも多々あったでしょう。
そこで、人々は「交換しやすいもの=お金」を考え出しました。最初は貝殻や金属などが使われ、最終的には現在のような紙幣や硬貨、そしてデジタル通貨に至ります。
そもそもお金とは
その種の社会や秩序を構築する上で、私たち人間にあって他の動物にない概念、その中でも特に大きなファクターを占めるのが「お金」といえるでしょう。
目を💲マークにして「お金が好き!」というのは憚られますが、お金があれば食べ物、住む場所、服、娯楽、学びなど、様々なものが手に入ります。
つまり「お金」は、多種多様な「価値」に変換できるツールに他なりませんが、人間以外の動物は、これらを純粋な力や本能、知恵や何百何千年かけた進化で手に入れてきました。
この「お金」という概念やルールがなかったら、私たちの社会はどうなっていたことでしょう?
ここまで文明を築き上げた今となっては、もはや想像することもできません。しかし、地球上の人間以外のあらゆる種が、ノーマネーでも問題なく生きていることも事実です。
動物はなぜお金を使わないのか?
何ともばかばかしい質問かもしれませんが、ここで改めて動物の生活に目を向けてみましょう。
動物たちは「食べる」「寝る」「繁殖する」という本能に基づいて生きています。たとえば、ライオンは群れを率いて狩りをし、食べ物を得たら休みます。鳥は巣を作り、仲間を見つけて子孫を残すために飛び回ります。
人間は何かを得て、貯金がいくらあったとても、“お金は別腹~”とばかりに欲してしまう傾向がありますが、動物はそうではありません。お腹いっぱいのライオンは、目の前をインパラが歩いていても見向きもしません。“狩り”より休息を優先させるからです。
彼らにとっては、「今」をもっとも有意義に過ごすことが全てで、お金(=変換できる価値)は必要ないのです。なぜなら、彼らの生き方には「基本的なニーズ」しかないからです。
さらに、動物には人間のような高度な知能がないため、抽象的な価値や欲望を生み出すことができません。動物の行動は、すべてが本能に従っています。もしライオンが毎日狩りをして必要な食べ物を手に入れられれば、それ以上の「お金」や「所有物」を求める必要はないのです。
知能がもたらした「お金」という発明
一方で、人間は知能を持つことで、生活に必要なもの以上の価値を見出すことができました。
お金を発明したことで、私たちは食べ物を得るだけではなく、家を建て、道具を作り、芸術や科学に時間を費やす余裕ができました。お金は、食べ物や水といった生命維持のための資源だけでなく、文化や学問、娯楽など、あらゆるものに価値を与える「魔法の道具」になったのです。
しかし、この「お金」が生まれたことにより、私たち人間は新たな課題にも直面しています。物質的な豊かさが追求される一方で、ストレスや競争、さらには社会的な不平等といった問題も生まれました。動物には存在しない、いわば「人間社会特有の悩み」です。
このように、生まれた時から既に組み込まれたお金のしがらみや不安、その苦労が絶えないからこそ、それとは無縁の純粋無垢な動物にこれほどまでに癒されるのかもしれません。
動物と人間の違い
動物たちは本能に忠実に、シンプルな生活を送っています。食べ物を手に入れて、寝て、繁殖する。それ以上の「何か」を求めることはありません。このため、動物たちは過去や未来を考えることなく、目の前の瞬間を大切にして生きています。
しかし、私たち人間は、知能を持つがゆえに、常に何か新しい価値を追求し、進化していきます。
この「お金」という概念を生み出したことで、私たちは物質的な豊かさや便利さを享受できる一方で、失うものもあったのではないでしょうか。動物たちが生きるシンプルな世界と、私たちが築いた複雑な社会の違いを改めて考えてみると、そこには深い対比が存在しています。
必要なものだけをその瞬間、瞬間に追求し、余計なストレスを抱えることなく、自然のリズムに合わせて生きる動物。対して、お金や所有物、社会的な評価を追い求めるあまり、本来の生活の豊かさを見失ってしまいかねない私たち人間。
「本当の豊かさとは何なのか」を考えさせる壮大なテーマになってしまい、着地点をどうするか・・まさにお金を払って哲学の先生に書いてもらいたいところですが、ペットシッターのコラムらしくまとめてみました。
おわりに
お金は、人間の知恵が生み出した偉大な発明です。しかし、どれだけお金があっても、私たちが鳥のように空を自由に飛び回ることはできません(近い未来には可能になるかもしれまさえんが)。飛ぶというのは鳥にとって自然な能力であり、それはお金では決して手に入らない価値です。同じように、イルカが海を自由に泳ぎ回る能力や、チーターが草原を全速力で駆け抜ける瞬発力も、自然から与えられた特別な力です。これらは私たちがどれだけお金を積んでも得られるものではなく、動物たちが持つ本能的で純粋な価値です。
このように、動物たちは自然の中で本能に従って生きることができる一方で、私たちはお金というツールを使ってさまざまな価値を手に入れようとしています。
しかし、お金の本当の価値は『使ってこそ』生まれます。私たちは大切なペットにとって何が最善かを考え、そのためにお金を使うことができるのです。例えば、栄養バランスに優れた質の高い食べ物を選び、定期的な健康診断でペットの健康をサポートしたり、寝床やおもちゃなど快適な環境を整えたりします。そして、ペットにとって安心できるケアを提供するために、信頼できるペットシッターを利用することも、その選択のひとつです。
ペットは、私たちに計り知れない癒しや喜びを与えてくれます。だからこそ、私たちもペットのために最善の選択をし、共に生活を豊かにしていく。それは、私たち人間が持つ「お金」というツールを、ペットの幸せのために最も有意義に使う方法ではないでしょうか。