花粉症に悩むペットシッターにとって、春の訪れは素直に喜べないところがあります。
上を見ても下を見ても春を報せる花々が咲き、穏やかな気候は「お散歩」には持って来いのシーズンではありますが、急なくしゃみもマスク姿も、慣れないペットには「びっくり」させてしまうことがありますので、気を抜けません。
さて、そんな全国1500万人を悩ませる「花粉症」ですが、ペットも花粉症になるのでしょうか?
ペットの花粉症は極めて稀
風通しの良い庭や自然の空気を吸える環境とは異なり、気密性の高い室内での飼育が増えたことで免疫力が低下し、極めて稀ですが犬や猫も人間と同じ花粉症にかかることがあります。しかしペットの場合は、ほとんどがその他のアレルギーと併発して、その中に花粉アレルギーも含まれているかも?というケースがほとんどです。
ちなみに、犬に比べて吸入性のアレルギーが少ない猫の花粉症検査は困難で、花粉症と断定できることはほとんどありません。
犬の鼻の構造は花粉に強い
人間の嗅覚細胞が500万個なのに対し、犬の鼻腔内には2億個の嗅覚細胞があり、「匂い」を嗅ぎわける能力は人間の100万〜1000万倍ある犬だけに、ちょっとの花粉でも過敏に反応してしまうのでは?と思われがちですが、その分「嗅粘膜」も非常に強く、情報収集に欠かせない大切な鼻は、できるだけ守られる構造になっています。
花粉症アレルギーが引き起こす症状
そのため吸入によるアレルギー症状は、私たち人間は鼻水やくしゃみなど主に鼻に出ますが、犬の場合は皮膚に出ます。
その結果引っ掻く、自傷的にガリガリ足を噛む、常に同じところを舐める、などの症状を引き起こしますので、ペットにそのような兆候が見られれば、動物病院で診てもらうことをお勧めしています。※特に症状が出やすい場所は顔、耳、足の先、内腿、腹部などです。
犬が花粉やハウスダストを吸い込んでアトピーなどのアレルギーを起こすのは、1〜3歳と比較的若い時の方が多く、花粉のように季節に関係したものが原因の場合でも、ほとんどの場合、最終的には季節と関係なく慢性的に症状が出るようになります。
花粉症対策とチェック
ペットシッターや飼主さんの前ではそのような行為をしなくても、犬は誰もいない間にかゆくてかゆくて顔をカーペットにこすりつけ、シッターを出迎えるときには耳を真っ赤にしている、なんてこともありますので、お世話に伺った際、発疹がないか、ただれやかさぶたがないか、また指などを頻繁に舐めた形跡がないか、などはよくチェックさせていただきます。
また、一般的にアレルギーが出たとしても、先天性や環境にもよりますが、多くはノミ・ダニだったり、食物だったり、また色々な要素の複合だったりするので、我々のように花粉に対しての一時的なものとは分けて考えなければなりません。
ペットの花粉アレルゲン
人間には猛威を振るうスギ花粉ですが、犬はスギやヒノキなどの花粉よりも、鼻が低い位置にあるということもありますが、散歩中の公園の雑草、ブタクサやヨモギ、オオバコなどの花粉の方が影響あるとされています。
スギは春先だけですが、雑草やその他の草花に関しては5〜9月の長期シーズン注意しなければならず、実際にその頃に何らかのアレルギーを併発させてしまう犬の方が多いのです。
まとめ
ペットも人間にも言えることですが、単に飼育周りの花粉の量だけで「花粉症になりやすい」「なりにくい」が決まるわけではありません。
例えば杉が群生する地域と都心部を比べた場合、大気汚染が進んでいる都心の方が発生率の高い傾向にあります。
現代病とも言われる花粉症は、排気ガスの蔓延する大気環境、アスファルトで覆われ土に還らず何度でも花粉がバウンドする路面環境、気密性の高い住環境や食事、生活習慣といったライフスタイルにより、大きく左右されます。
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