夏場は涼しい所、冬は暖かいところを見つけるのが天才な猫。
ペットシッターでお伺いした際、玄関までお出迎えにきてくれる子もいれば、そのベストスポットでまどろんで待ちかまえている子もいたりと、様々です。
季節や気候によって猫の密着度も変わったりと、自由奔放な猫には、いつも癒されています。
今回は、そんな猫と天気の関係を見てみましょう。
猫にまつわる天気の言い伝え
『猫が顔を洗うと雨が降る』なんて言い伝えを聞いたことはありませんか?
現代のように、気象衛星もアメダスも無かった昔の人は、動物や自然現象を観察して天気を予想していましたが、その中でも猫の天気予報はよく当たったのだとか。
猫が前肢で顔を洗うしぐさなんてしょっちゅう見せますが、ただの迷信と切り捨てずに意味を探ると、どうもその髭に謎が隠されていたようです。
祖先が乾燥地帯出身の猫は湿気を嫌い、特に猫にとって“第二の目”とも呼ばれるほど神経が張り巡らされた“髭”は、雨の前兆のわずかな湿度変化も敏感に察知します。
ハンターとして常に万全のコンディションを保っていたい猫は、しきりに顔を拭って髭が水分を含み弾力を失うのを防ごうとしますが、実はこれが「天気予報」に加えた「招き猫」の由来のひとつにもなっているのです。
猫に招かれるまま寺に立ち寄った侍は、急に降り出した雨に濡れずにすみ、おまけに貴重な説法まで聞けたと、後日寺に大層なお礼をした、というもの。ちなみに、背中から頭へかけて、普段は見せないほどダイナミックな動作で顔を洗うと、かなりの確率で長雨になるのだとか。
お出かけ前、見送りにきた猫の顔がいつになく凛々しく輝いていたなら、迷わず雨具を持っていきましょう。
雨の日の猫は元気がない?
また雨の日の猫は、遊びに誘ってもあまり乗ってこなかったり、普段より食欲が落ちることがあります。野生の猫は当然、雨は体力を奪い(犬に比べワックス効果のある皮脂が少なく、被毛が水分をはじきにくい)、獲物が捕れないことを知っていますので、本能的にじっと体を休めようとします。
このように雨は、猫を『お休みモード』に替えますが、逆に雨を体感したことの無い猫ほど、水道から出る水に興味を持つように、ひたすら窓に張り付いては興味深く雨のしずくを見続けたりします。
また、トイレ砂の感触が湿気で異なると、猫によってはもっと乾いた別の場所で・・とトイレじゃない場所に粗相してしまうこともあります。
天気を読み取る(?)猫の能力
一方晴れの日は、特等席となる日当たりの良いポイントを見つけ、実に気持ち良さそうに日光浴をしています。猫にとって日光浴は、体を温めたり、被毛を消毒する大切な習慣。また以前は、紫外線を浴びることで体内にビタミンDを生成すると言われていましたが、最近の研究では「猫は皮膚のプロビタミン濃度(生体内に取り込まれるとビタミンとして働く物質)が低いので、紫外線を浴びても皮膚でビタミンDを合成することはできない」とされています。しかし、太陽光はメラトニンという体内ホルモンに影響を与え、体内時計を整える効果があるとも言われていますので、雨とは対照的に、積極的に日向ぼっこさせてあげたいですね。
また、長毛種は短毛種に比べ「熱」が毛の間にこもりやすいため、アメリカ北部の涼しい地域(メイン州)出身のメインクーンなどは、日光浴を好まないこともあります。
聴覚に優れ、人間には聞き取れないほどの高周波音をキャッチする猫は、遠くで風が鳴る高い音にも反応し、それが「うちのコ、嵐や台風の前は部屋中を走り回って異常を教えてくれるの」という行動につながります。得体の知れない音が怖くて駆け回ったり、怯えて隠れてしまったりと猫によって様々ですが、子猫の頃に経験して「何でもないこと」と理解していたり、近くの親猫がどうどうとしていると、比較的嵐や雷にも動じなくなります。
ただ気まぐれに興奮のスイッチが入ったり、やる気が漲る排泄時にもダダーッと走り回ったりしますので、「来るか!嵐が来るのか!?」とこちらが緊張しても、嵐とは程遠いほどささやかなオシッコのせせらぎに、肩透かしを食うことも。
冒頭のような『猫が○○したら雨or晴れ』なんて言い伝えは、地方により異なるものの、実に多く存在します。
江戸時代の頃から庶民の間でも猫が飼われ始め、それだけ多くの人たちが愛猫に魅了され、その愛くるしいしぐさを逐一観察し、自然と照らし合わせてきた証拠でしょう。
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