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イモムシサバイバル

本部スタッフの倉西です。
昨日は台風並みの強風で、小型犬だったら飛ばされそうな勢いでしたが、実際にもっと体の小さい生き物(昆虫など)は、バンバン飛ばされたことでしょう。

一年ほど前の話ですが、ひょんなところでひょんな生き物と遭遇した「小さな冒険」を思い出しましたので、今日は物語風にご紹介したいと思います。

 

チャプター1 出会い

電車内に小さな小さなイモムシが。
朝の通勤電車だから、次の駅でも、その次の駅でもどんどん人が乗ってくる。
まるで進撃の巨人の「地ならし」のような運命に、彼は抗うことができるのだろうか。

 

チャプター2 回避

巨人(人々)の足で埋め尽くされた車内。
さっきまで彼がいた場所には男性の足があり、surviveの確率は低いように思われた。
「まあ、そりゃそうだよな」と視線を文庫本に落としかけたその刹那、ひょっこり顔を出すイモムシ。
よかった。天は彼に味方した。

 

チャプター3 避難

イモムシは目の前の靴に登り始めた。
「genius!」靴に登れば、これでもういくら人が乗ってこようと、絶対に踏まれることはない。
これこそが唯一無二の生存方法と知り、ピンチをチャンスに変えたイモムシに運と命の強さを感じる。
「運命」とはよく言ったものだ。

 

チャプター4 二択

彼はソールから靴上、靴紐をたどりズボンの裾付近まで登り上がった。
「もうやめておけ!」それ以上進むと、靴下から肌(足)にたどり着き、巨人にバレてしまう。
しかしイモムシは裾を潜るのではなく、本能がそうさせるのか、裾の上側を登り始めた。
ホッと胸をなでおろす。

 

チャプター5 希望

またも「生存」の道をチョイスしたイモムシ。
あとは彼(巨人)がどこかで降り、また新たな世界でサナギになり蝶になればよい。
そんな私の希望も乗せて、イモムシはどんどん登っていく。
もう目が離せない。どころか、彼の勇姿を隠し撮りまでしてしまっている。

 

チャプター6 登頂

彼はズボンからシャツに登り移り(こちらも潜ってお腹に行くんじゃないかとひやひやしたが)、さらに上へ上へと登っていく。
「生きろ」そう願う私に、次なる試練が。
シャツの上はもう首しかない。さすがに首を這えばバレてしまうし、うなじは巨人の弱点(『進撃の巨人』参照)でもある。
しかしイモムシの歩は止まらない。

 

チャプター7 バレる

案の定、イモムシはシャツから首へ移動した。
そして違和感を感じた超大型巨人は、ブォーンと長い手で“それ”を払い落とす。
彼の命運もここまでか。
しかし一縷の望みをかけて、私は落下したであろう彼を必死に探す。
もう手にした本は飾りでしかなく、彼の紡ぎ出す物語に夢中になっている。

 

チャプター8 発見

「いた!」
イモムシは地面まで落下しておらず、なんと巨人の足元に置いてあった鞄の上に舞い落ちていた。
今期二度目の「生きとったんかワレ!」が飛び出し、歓喜と安堵が入り混じる私の耳に、終点のアナウンスが響く。

 

チャプター9 終着

無事に終着駅に着いて、みんなが一斉に降りる。イモムシを乗せたカバンを背負い直した巨人も降りていく。
新宿という無機質なジャングルで、いつか綺麗なその羽ばたきを見せてくれ。
ただ私には、彼が安全に駅構内を出るまで見守る義務がある。

この世界は残酷だ・・この小さな大冒険がハッピーエンドに終わるのか、バッドエンドに終わるのか。
それを見届ける勇気のある方だけ、最後のチャプターに進んでほしい。

 

 

結末を知らずとも、きっと上へ上へと目指すその精神は、皆様の心にも一陣の風を巻き起こしたことだろう。

 

 

 

『希望』の二文字を胸に、ここで終演にすることもやぶさかではない。

 

 

 

どうしても結末を見届けたいというならば、どうぞその覚悟をもって・・・

 

 

 

チャプター10 運命

小さな生物にとって、生と死は常に隣り合わせだ。
数百の卵から成虫(蝶々)になるまで生き残れるのは、わずか1~2%だという。

これから蝶を見るときは、みんな「小さな大冒険」を生き延びてきた“奇跡の結晶”だと思うことにしよう。

 

by 倉西

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