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ペットの『蚊』対策


公園など外でお散歩することが多いペットシッターにとって、夏は蚊との戦いでもあります。 かゆいな、と気付いたときには、すでに敵の姿はそこになく、ぷっくりと膨れた血を奪われた痕跡があるだけです(笑)

そして蚊のターゲットは人間だけではありませんので、犬や猫も当然狙われてしまいます。 そんな小さな敵『蚊』のことを知り、蚊が原因の病気からペットを守りましょう。

 

蚊がもってくる病気とは?


“ペットと蚊の関係”で真っ先に浮かぶ注意といえばフィラリア症ですね。 フィラリアは別名「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」というので、犬だけの病気に思われがちですが、猫でも、またごく稀に人間にも感染する人畜共通感染症です。 フィラリア症は“蚊”によって媒介し、終宿主※の犬猫の心臓や肺動脈に寄生する厄介な寄生虫病です。 ※終宿主(しゅうしゅくしゅ):寄生虫の成体が最終的に寄生する宿主 フィラリアのそうめんのような形状、体内でうごめく気持ち悪さは異常ですが、それもこれも、あの耳元で不快な羽音を立てる『蚊』が運んでくるというから、余計に腹が立ちます。血を吸うついでに、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)まで落としていく大変厄介な生物、それが蚊です。

さて、フィラリアにかかってしまうと、どうなるか?

初期こそほとんど無症状ですが、次第に乾いた咳栄養障害腹部膨満赤色尿(血液循環障害により尿中に血色素が排出される)を起こし、死に至ることも少なくない大変危険な状態となります。 我々人間でさえ蚊をパンッ!と手のひらで退治するのに苦労しているのですから、全身ターゲットと成り得る裸両足歩行のペットにとっては、とんでもない難敵に違いありません。

では、どうやって蚊の脅威からペットを守ればいいのでしょう?

 

ペットをフィラリア(蚊)から守る方法


ペット用の「蚊取り線香」や「防虫スプレー」などを使ってペット環境を“守る”ことも必要でしょうが、それでも完璧ではなく、それこそひとたびお散歩に出れば、敵は無数にいます。 一番確実なのは予防薬の投与で、毎月(4〜12月)予防薬を飲ませることで、ほぼ100%防ぐことができます。

しかし、残念ながら予防率は年々低下していて、日本犬糸状虫症研究会の発表によると「日本では飼い犬の約3分の2が未だにフィラリア予防をしていません」とのこと。 費用的な問題、また毎月の投与を忘れてしまったり面倒になって怠る、うまく飲ませられないなどの問題もあるでしょうが、「これまで予防しなくてもかかったことがない」や、「1シーズン投与し忘れたけど何の異常もなかったからそれ以降行わない」など、ケースは様々です。

しかし、フィラリアは感染してから症状が現れるまで、何年もかかることがある病気です。 最近では半年間や一年間有効の予防注射もありますが、過去に死亡事故があって一年ほど販売を休止していたこと(現在は販売)、またその原因がしっかり究明されていないことなどを受け、これは医師によっても見解が分かれるところです。 かかりつけの獣医さんに相談してみるといいでしょう。

 

その他の蚊の脅威

「蚊」が原因の病気といえば、フィラリアだけでなく以前はデング熱が話題になったこともありますね。これも人から人に直接感染するわけではなく、蚊の吸血によってウイルス感染する蚊媒介性です。 デング熱はたとえ感染しても発症しないことが多く、よほどのことが無い限り重症には至りませんが、現在(2017年)のところ特有の薬があるわけでも、有効なワクチンがあるわけでもありませんので、まさに蚊の独壇場です。

さて、このデング熱「フィラリア症と同じ人畜共通感染症だから、ペットにもうつるのでは?」「蚊に刺されたペットは保菌状態(キャリアー)となり、ペットから人にうつったりしない?」なんて不安もありますが、そのような事実は今のところ確認されていません。感染根拠の出典論文を明記している学術サイトでは「人及び一部の猿類」となっていますので、デング熱に関してはペットの心配より、極力ご自身が刺されないよう注意しましょう。 蚊に血液という栄養を与えたうえ病気になってしまったのでは、たまったものではありませんので、散歩時は虫よけスプレー、長袖着用など防御に備えましょう。

 

最も危険な生物は「蚊」!?

『蚊』なんて、取るに足らない小さな虫だと思っていませんか? 不快だけど、ゴキブリほど気持ち悪くないし、ハエほどうるさくも目ざわりでもない。ましてや命の危険なんて、あんな”か細い”生物からはみじんも感じませんよね?

では、私たち人間にとって“最も危険な生物”って、何だと思いますか? 百獣の王ライオン(100)?、動物最強説のカバ(500)?、それともサナダムシ(2000)や回虫(2500)?いえいえそんなものではありません。 ちなみにカッコ内の数字は、年間にその動物によって人間が死に追いやられる数を示したものです。

1位はもうお分かりですね。そう、蚊(72万5000)です。…開いた口がふさがりません。桁違い…圧倒的パワーの差…漫画の戦闘力かってくらいズバ抜けています。いかに蚊が人類にとって脅威なのか、良く分かりますね。毎年60万人以上が亡くなるマラリアも、蚊によって感染しているのです。

ちなみに…「蚊」の次に人を多く殺す動物は… 「人間」です。 戦争や紛争、人間同士の殺し合いで年間何万人もの尊い命が失われています。

平和って‥大切ですね。パンッと叩く手のひらも、武器を持たずに差し出せば、争い回避の握手にも成り得ます。蚊は自らの命を賭して、そんな大切なことを我々に教えてくれているのではないでしょうか。

かなり脱線しましたが、ぜひペットの蚊対策には気をつけましょう。

 

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