昨日の大雪は大変でしたね。
都内で雪が積もることは珍しいため、お散歩で「初めて雪を見る」わんちゃんも多かったことでしょう。雪にはしゃぐ姿は大変微笑ましいものですが、長毛種の場合は雪玉が絡まってガチャピンみたいになったりしますので(笑)、後の処理にも注意が必要です。
今朝の歌舞伎町「TOHOシネマズ新宿」のゴジラの様子です(↑クリックで拡大)。
せっかくゴジラも雪で凍結された状態ですが、今日の東京は10度くらいまで気温が上がるそうですので、日中にはすっかり解けてなくなっていることでしょう。
クレートトレーニングの基本的な考え方
さて、今日のブログは、昨日の「クレートトレーニングをマスターしよう」をさらに細かく紐解いてみたいと思います。
<クレートトレーニングの方法>
・ご飯はクレートの中で与え(お皿で上げてもいいですし、一粒ずつ放り込めば、それだけ「いいこと」の回数を増やすことができます)、入るときに「ハウス」などの号令をつけます。
・クレートに入った直後に、マシンガンのようにバババババッと大量のフードを放り込み、これでもかというほど「美味しい雨」を降らせます。
・クレートに入っても、ペットが出ようとしたら、無理に「待て」などと引きとめず、ペットの意思で出してやります(閉じ込められるわけではない。自由に出入りできることを学習)。
・クレート内にいる限りは、定期的にフードなどのご褒美を入れますが、それができない場合は長く噛んでいられるおやつや、コングなどにフードを詰めて長時間楽しめる工夫をします(クレート内にいるときは「いいこと」が起きることを学習させます)。
・クレートから出すときに、「OK」など解除の言葉をつけ、フードなどを与え「いいこと」を起こします。つまり、入った直後も、入っているときも、出たときも「いいこと」が起きるように学習させます。
これは、昨日の紹介した「クレートトレーニングの方法」です。
今日はもう少し掘り下げて、想定し得る問題点とその解決方法についても見ていきたいと思います。
上記のやり方で、すんなり「クレートの中が大好き」になってくれれば問題ありませんが、犬にとって「クレート内で落ち着いていられる」時間や許容範囲は、まちまちです。特にトレーニングスタート時は「なかなか入ってくれない」、また「入ったはいいがすぐに出てきてしまう」など、クレート内に留まってくれないケースもあるでしょう。
プロから聞くクレートトレーニングのアドバイス
そこで、CPDT認定ドッグトレーナー(※300時間以上のドッグトレーニング経験と「獣医師・お客様・他のドッグトレーナー」からの推薦状を提出しなければ試験を受けられない、世界基準のドッグトレーナー)として多くの家庭犬のしつけに携わってきた、ペットシッターSOS千葉南店鶴岡シッターに『クレートトレーニング』のコツを伺いました。
鶴岡さんアドバイス
クレートに慣れさせる、すなわちクレート内を「快」に思ってもらう必要がありますので、最初から「扉を閉める」=(犬が出たくても出られない)というような状況は作らないようにしましょう。
扉が開いた状態で、クレート内にいられる時間を1秒、3秒、5秒・・・1分、5分、10分・・・30分、60分と伸ばしていきます。クレート内にいる限り「いいこと」が起き続ければ、その場所をどんどん好きになって受け入れていきますので、定期的にフードを入れて「いいこと」を起こしていきます。
今度は、扉を閉めた状態で1秒、3秒、5秒・・・1分、5分、10分・・・30分、60分と伸ばしていきます。
犬がもし「出たい」と扉をガリガリしたら、ただちにクレートから出してあげましょう。
ここで「嫌なこと」を起こし、「出たい」とする行動を抑え込んでしまうのは、人間都合でクレートのしつけを行っているのに、犬に対してフェアではありません。
<たとえば「不快な音」を出して抑制しようとすると・・>
1クレートの中で待っていると不快な音は出ない
2クレートの中で扉をカリカリすると不快な音が出る
1は嫌悪刺激を回避するために「待つ」行動が出ています。おとなしく待つことの原動力は“不快な音からの回避”です。
2は嫌悪刺激が出現してカリカリが減少します。
2のようなアプローチを病理的アプローチと言います。
どちらも不快な刺激の出現と停止で、とても犬にとって「良い選択肢」を与えているとは言えません。
<「いいこと」を用いた適切な選択肢とは・・>
1クレートの中で待つと快適な刺激が出現する
2待ち続けることが不快な場合は外に出られる
ポイントは、「トレーニングに参加するかしないかは犬が決める」という選択肢なのです。
そして参加しないという選択をした場合にも、犬には不利益は発生しないということです。
では、なぜ犬がトレーニングの途中に扉をカリカリして外に出たがるのか、なぜ犬からそのようなフィードバックがあったのかを考えてみましょう。
例えば、「静」か「動」でいえば、クレートのトレーニングは動きの少ない「静」のトレーニングになります。ですのでトレーニング環境としては、散歩の前より、適度に疲れた散歩の後に行う方が適しています。
また、フードやおやつなどの「強化子(=いいこと)」が適正だったかも考えてみます。
強化子が強すぎても、逆に興奮を高めすぎてしまい好ましくありません。
強化子の与え方や頻度も適宜調整しましょう。
そして日常生活の中でまだクレートトレーニングが完了していない場合は、どのくらいの時間ならクレートに入っていることができるかを確認しておきます。
その時間が30分であれば、例えば来客で30分以上の滞在が予想される場合は「サークルに入れておく」、「他の部屋に入れておく」など、その他のマネージメントができます。
外出先であれば、室内よりも“刺激”が強くなるため、時間はさらに短縮されるでしょう。
このようにして、「犬ができること」以上のことを人間側の都合で強いるのではなく、少しずつ「犬ができること」「時間」「許容範囲」を増やしていき、最終的にクレート内で落ち着いていられる時間を伸ばしていきましょう。
トレーニングは、正しい方法で根気よく行い、犬に好ましい行動を学習させていくことが理想です。
犬に不快な「罰」を与えるよりも、犬がポジティブな感情で積極的にこちらが望む行動をとってくれる方が、当然良好な関係が築けますね。
鶴岡さん、ありがとうございました。
世の中には、色々な「しつけ方法」が蔓延していて、どれが正しいやり方なのか、迷うことも多いと思います。
また機会がありましたら、このような「しつけアドバイス」をブログやコラムで紹介していきたいと思いますので、ぜひご参考ください。
by 倉西