前回の『お散歩のゴー&ストップ①』、『お散歩のゴー&ストップ②』に続き、今日は最後の『③ストップ編』です。
犬がぐいぐいリードを引っ張って困る、ニオイ嗅ぎしてほしくないところに顔を突っ込んでしまう、などワンちゃんのお散歩にお困りの方は、ぜひこの簡単な『お散歩のゴー&ストップ』テクニックを試してみてください。
引っ張られても『STOP』しよう
そもそも、なぜ犬がぐいぐい引っ張るのでしょうか?
それは『引っ張れば進める』からです。
“進める”ということは、犬にとって“いいこと”が起きていることに他なりませんので、引っ張られた先についていく限りは、その行動はどんどん強化されていきます。
ですので、お散歩中もし犬が飼い主さんを無視してぐいぐい引っ張ったら、その場でピタッと止まってしまいましょう。
これまで引っ張って進めていたワンちゃんは、それでもぐいぐいリードを引っ張るかもしれませんが、決して進むことはありませんので、やがて諦め、振り向いて飼い主さんを見たり、リードが緩んだりします(※ここは犬との根競べです)。
止まっている状態のときに、トリーツを使って呼び寄せてもいいでしょう。
そして、犬が引っ張るのをやめリードが緩んだ状態になったら、また進み出します。
最初は何度も『STOP』することに
しかし、一歩飼い主が歩き出せば、また犬は喜んで先にぐいぐい進み、すぐにリードが張ってしまうでしょう。
リードが張ったら、その度にまたストップします。
リードが張る | 止まる |
リードが緩む | 進む |
この状態を何度も繰り返します。
これを専門用語で分化強化といいます。
次第に犬は、『リードが張っても先に進めない(=「いいこと」が起きない)』『リードが緩む(飼主さんの近くなら)行きたいところに進める(=「いいこと」が起きる)』ということを学習していきます。
ストップだけじゃなく『ターン』もあり
ストップは犬との根競べになり、ワンちゃんによってはずっとリードが張りっぱなしで、全く緩むことがない場合もあります。
そんなときは、くるっと向きを変えて反対方向に歩き出すのもありです。
お散歩コースは何もひとつではありません。
ターンをすることで、その瞬間は犬より人が前になり、犬も(逆方向とはいえ)“進める”ことになるので、必然的にリードが緩んだ状態なら進めるという環境を作り出すことができます。
しかし、ターンをしても、また犬が人を追い越してリードを引っ張ったらストップです。
『ストップ』はただ止まるだけ
『STOP』はただ止まるだけで、罰ではありません。
ですので、絶対にチョーキングのように、グイッとリードを強く引っ張っり返してはいけません。
痛い思いや不快な思いをさせず、「どうやったら進めるか」を犬に考えさせ、「リードが緩んだ状態なら先に進める」ことを体験を通して学習させましょう。
いきなり外のお散歩で実践するのは、犬にとっては刺激が多くて難しい場合もありますので、まずは室内でリードをつないで練習してみるのも方法です。
そして、“リードが緩んだ状態をキープしている”“飼主さんの近くを歩いてくれている”など良い状態のときに、声をかけたりトリーツを与えるなど『いいこと』を起こしてあげると、犬はよりその状況を好み、積極的にとるようになります。
引っ張りが強くて困っている~犬と一緒に(近くを)歩きたい~という方は、ぜひこの『ゴー&ストップ』を試してみてください。
by 倉西