ゴールデンウィークも明けて、久しぶりのブログ更新です。
連休中もシッターは休まず活動しておりましたが、本部の営業はお休みだったため(メール問合せのみ対応)、今日から心機一転「仕事モード」に切り替え、頑張っていきたいと思います。
切り替えるといえば、たとえばペットのごはんを「療法食」や「シニア用」に切り替えたい時、なかなか新しいフードを食べてくれなくて、困ったことはありませんか?
人がオンとオフを切り替えるように、また自分の意思で禁酒や糖質ダイエットに挑戦するように、ある時を境にパッと環境や食事内容が変わることは、人間の場合珍しくありません。
しかしペットの場合は、自分の意志や行動とは無関係に、ある日突然“理由も分からず”フードが変わることになります。
ペットの食性からフード切り替えを考える
雑食性の犬はそうでもありませんが、特に完全肉食の猫の場合は、これまで食べてきた「安心できるもの」という食へのこだわりが強く、急にまったく違う匂いや食感、味のものに変更されると、「これは本当に食べても大丈夫なのか?安全なのか?」といった警戒心が働きます。
詳しくはこちら→グルメな猫の食習慣
とはいえ、それもこれも『美味しそうじゃない(美味しくない)』という理由が大きく、特に犬の場合は“今までより明らかに美味しいもの”なら、一も二もなく食べてくれます。
しかし我々にとっての病院食がそうであるように、ペットにとって療法食はどうしても嗜好性が落ちてしまうため、残念ながら食いつきも悪く、それがストレスにもつながってしまいます。
また、普段から色々なものを食べ慣れているコならいざ知らず、ずっと同じフードを食べ続けてきた犬や猫にいきなり違うものをあげてしまうと、おなかがびっくりして“下痢”や“嘔吐”などの消化器への負担も懸念されます。
気をつけたい「味覚嫌悪条件付け」とは?
そうした経験から、ペットは「このフードを食べると体調が悪くなる」と、ますます新しいフードを敬遠し、嫌いになってしまうことがあります。
人間でも、生牡蠣でお腹を下した経験から、大好きだった牡蠣フライまで苦手になる、ということがありますよね?
これを味覚嫌悪条件付けといい、ペットの場合は原因となる食べ物(の匂いや食感)はもちろん、フード皿や食事場所、「ほら、大丈夫だから食べなさい」と食べることに注目されたり、フードを口に近づけられる(構われる)こと自体が苦手になることがあります。
古くは、これを利用して子羊の肉片に塩化リチウム(吐き気を催す成分)を混入し、この餌を食べた野生動物が以降羊を襲わなくなる、という罠も用いられてきました。
ペットのためのフード変更が、そのペットを苦しめ、さらに“食べない”ことから健康被害をもたらすとあっては、本末転倒ですね。
上手なフードの切り替え方
上記のように、ペットの「味覚嫌悪条件付け」はとてもやっかいですので、フードの切り替えは一気に全替えするのではなく、最低でも一週間くらいはかけて、徐々に変更していきましょう。
では、どのように替えるか?
一番ベストなのは、替わったことさえ気付かせないことです。
テレビのクイズ番組でよく見る、一枚の画像が徐々に変化していくアハ体験。変更前と変更後の画像を見比べるとその違いは明らかですが、徐々に少しずつ変わっていくとなると、どんなに凝視してもなかなか見つけられませんよね?
このように、ペットフードも少しずつ以前のものから→新しいものへと変化させていきましょう。
最初は9:1くらいの割合で、これまでのフードに少しだけ新しいフードを混ぜます。
それで様子を見て次は8:2、7:3と少しずつ新しいフードの量を増やしていくのです。
「もう若くはないから、これからはこのごはんにしよう」とか、「今は病気を治すために、このフードを食べなきゃいけないんだ」といった考えは、ペットにはありません。
『食べる』ことは大きな楽しみでもありますので、できるだけペットに負担をかけずに、それぞれのステージに合わせたフードに上手に切り替えていきたいですね。
また別の機会に、今回はサラッと説明した味覚嫌悪条件付けについてや、さらに別のフード切り替え方法などをご紹介したいと思います。
ということで、緊急事態宣言の延長などまだまだ暗いニュースは続きますが、何とか前向きに切り替えて頑張りたいと思います!
by 倉西