ペットシッターは犬よりも猫によるケガが多く、ベテランシッターはみな口をそろえて「犬よりも猫の方がヤられる可能性が高い・・」と言います。
リードでつながれていない分、“攻撃性がある猫”のお世話は、噛まれたり引っかかれないための高度な注意が必要とされるのです。
(ケース1・・・ふいに飛びついて牙と爪でざっくり腕にぶらさがる
(ケース2・・・背中を見せると馬乗りで襲ってくるので、そ~っと向かい合ったままゆっくり後ずさり
(ケース3・・・猫に噛まれしたたり落ちる血を次の攻撃が恐くてなかなか拭き取ることができない
(ケース4・・・ごはんの用意をしていると近寄ってきてシッターの腕をクンクン匂いかぎ、そして次の瞬間ガブッ
(ケース5・・・常に臨戦態勢でフーフー背中を丸め、マンションのドアを閉めるや否や『ドンドンドンドン!』とドアを叩いて威嚇
(ケース6・・・おもちゃで気をそらそうとポイと投げた瞬間、投げられた方向ではなく投げてきた方向(シッター)に向かって猛ダッシュ&攻撃・・・・etc..
すりすりゴロゴロのかわいい猫ちゃんばかりをイメージしていた方には、なかなかショッキングな事例かもしれません。
もちろん、このようなケースは極めて稀ですが、それが(慣れていない猫にとって)他人であるシッターが、猫のテリトリーに入ってお世話することの難しさです。
とはいえ、普通の猫でもその性質上、かまって欲しいときだけやってきて、冷めたら急にそっぽ向いて知らん振り、なんてこともよくあります。
その気ままさが猫の魅力のひとつでもありますが、たまにはこちらが思う存分“猫じゃらしテク”で、猫を振り回してあげるのも面白いのではないでしょうか。
『猫じゃらしテクニック』講座
1.猫じゃらしに魂を注入すべし
猫はハンター、小さなトラです。
猫の攻撃対象となるネズミや虫、小鳥などの動きをよく観察し、猫じゃらしにそれらの動き・癖・スピード・変化、“すなわち魂”を注ぎ込みましょう。
2.動きは複雑で欲求を満たすものにすべし
動くものに反応するからといって、単調な動きにいつまでもかまってくれる猫ではありません。
“狩りのための衝動”を満たすべく、その子が一番反応する「ある種の動き」を追求し、よりエキサイティングできる棒さばきのテクニックを磨きましょう。
3.逃げる動きをマスターすべし
“獲物”とは、常に猫から逃げて行く動きをするものです。そして蛇ににらまれた蛙のように、時に体をこう着させてみたり、折れ線グラフのように蛇行し敵を交わしたり、弱ってモタモタ動きになったりと、遠のくパターンも様々です。しかし逆に、猫に近づけていく動きは、天敵と思わせ猫を戸惑わせるので、多用はNGです。
4.猫との駆け引きを演出すべし
「お?なんだこいつは?」と、まず猫にチャレンジャーの登場をアピールしましょう。
猫の目はすぐに“標的”を負うハンターの目になるでしょう。手を出してじゃれついてくる子もいれば、タイミングを見計らってじっとしている子も。そして「これなら捕れるかも」と思わせるような“つたない”動きを演出し、猫が狙いはじめたらピタッと止めます。「これは捕れる!」そう猫に確信させるのです。再び勢いよく逃げ出す動きで、猫に「今しかない!」と飛びつかせ、後は逃げ回る獲物を演出して、不規則に動かすだけです。ポイントは猫の飛び出す瞬間、瞳孔がパッと広がるところをいかに見極めるか、です。
5.障害物を利用すべし
床を這う獲物の動きに飽きたら、植木鉢や家具の陰からチラチラと猫じゃらしを見え隠れさせ、隙間に入り込むネズミを演出しましょう。狙うばかりでなかなか飛び出してこない子もいますが、猫じゃらしマスターに焦りは禁物。動きにメリハリをつけ、気長に行いましょう。
6.見えないけど何かいるぞ!?を演出すべし
布や毛布の下にじゃらし棒をもぐりこませ、葉っぱの下をもそもそ歩く昆虫のごとく、時に猫に気づかず足元にもぐりこんで慌てる虫も演出しながら、挑発した動きを兼ねて動き回ります。たまらず猫が飛びつき押さえつけてきたら、布の下でてんやわんやと逃げまわりましょう。
たまに布の端からチラッと顔を出しては、スッと引っ込めるのもポイントです。
いかがでしたでしょうか?
『猫じゃらしマスターの道は1日にして成らず』という言葉があるように、その道は長く険しいものです。猫に色々な動きをさせ、自由自在に操れるようになるまでには、まず捕食動物の気持ちを知ることです。それには一度や二度、実際に凶暴な猫に襲われてその恐怖感を肌で体感してみるのが一番かもしれませんね・・・(笑)
以上、キャッとならないためのCAT講座でした。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長され、ペットと過ごす時間も必然的に増えましたので、せめて色々な遊びを取り入れ、少しでも有意義にペットライフを過ごせたらいいですね。
by 倉西