足腰が弱くなってきた高齢ペットに、例えば「お散歩はもうやめよう」とか、「キャットタワーはしまってしまおう」と気を遣って習慣や環境を変えることは、かえって犬や猫の老化を早めてしまうことにもなります。
犬猫に聞いてみなければ分かりませんが、人間のように「もう隠居しよう。余生を静かに過ごそう」とペットたちは思うでしょうか?
きっと、いつまでたっても「子犬」や「子猫」の気持ちのまま、自分が大人になった、おじいちゃん、おばあちゃんになった、なんて概念なく、これからも飼い主さんと共に変わらぬ生活を送りたいはずです。
立ち上がる、歩く、排泄する、といった動物の本能的な行動には、それを成し得る、維持するための筋力が不可欠です。
ちょっとよろめいたくらいで、過度にそうした行動を制限、必要以上に補佐してしまうと、そのために必要な筋力はどんどん衰えていってしまうでしょう。
もちろん、だからといって若いころと同じように―ということではありません。
年齢やステージに合わせたケアは必要ですが、ペットの持つ力も信じてあげましょう。
「立ち上がるのが辛そう‥」「後ろ足をうまく使えず歩くのが困難‥」と、今まで出来ていたことが急に出来なくなると、どうしても悲観的に見てしまいがちです。しかし、犬や猫は人間よりずっと早いスピードで年を取るため、老いのスピードもそれだけ早く感じるのは、実は「当たり前」のことなのです。
むしろ、そんな時間軸で生きるペットが、「頑張って立ち上がろうとしている!」「ヨロつきながらも懸命に進もうとしている!」という姿に、その「老い」など微塵も気にしない“がむしゃらな姿勢”に、『かっこいい!』と思いたいですね。
力を振り絞り、今までの経験をフル動員させ、年を顧みず挑み続ける老犬・老猫の姿を見ることができるのも、ペットの一生を見守る人間の務めであり、特権なのかもしれませんね。
by 倉西