北海道の「おびひろ動物園」で、マンドリルの前に貼り出された“ある注意書き”が話題になっています。
『「おねがい」くちをあけないで ベロをださないで そっと見て下さい キーボーがコウフンしてしまいます』
パッとみ「ウンコしてしまいます」に見えて、不届きにも「口を開けたらウンコするの?面白そう」などと思ってしまった自分がいます。
犬のトイレトレーニングなどでは、「ワンツー、ワンツー」といった掛け声が排泄を促すため、そのような習性の一種かな?と。
しかしこれは、小さいお子さんでも分かるように「コウフン」とやさしく書かれていましたが、残念ながら掲示後もこのような行為が改められなかったため、追加で以下のようなメッセージも貼り出されました。
『「大人の方へ」張り紙を見た方の中には、わざとベロを出したりする人もいます。若いカップルの男性側や大学生など、20歳前後の人が多いです。興味本位で禁止行為をして、もし動物がケガをしたら、責任を取れますか?動物園の動物は檻の中に閉じ込められているがために、人間の方が優位だと錯覚しがちです。ですが忘れないでください。動物園の動物は、あなたのおもちゃではありません。』
いったい、なぜマンドリルに向かってベロを出してはいけないのでしょうか?
それは、飼育されているオスのマンドリル(キーボー)が、なぜか人間の口を開けた顔や舌を出すしぐさに、異常な性的興奮を覚えてしまうからです。これは、マンドリルの生態というよりは、人工哺育で育ったキーボー特有の行動とのこと。ただ、それを面白がって挑発する人がいるため、見るに見かねた飼育担当者が、このような強い口調で注意書きを書きました。
「押すなよ!絶対に押すなよ!」という前振りがGOサインになるのはバラエティの世界だけで、感情ある動物をそれこそオモチャ感覚でいたずらに刺激していいわけはありませんね。
でも、いくら「ダメ」といっても、むしろ「ダメ」といわれればいわれるほど、逆に興味本位でやってしまうような人たちもいます。
マジックミラーのように、一方からは見えない展示ガラスができるといいのですが、それまでは観覧者のマナーに頼るしかありません。
それでも後を絶たないようなら、もう人間側に壁を設けてしまうというのはどうでしょうか?
マンドリルだけに、ドリルでいくつか『除き穴』を空け、向こうからは顔が見えないように観覧するのです。
心ない人たちのせいで、これ以上“人”と“動物”の間に壁ができないよう、動物たちの環境エンリッチメントをこれからも考慮していきたいですね。
by 倉西