本部スタッフの倉西です。
私は蚊を許さないし、許したことがない男として巷では有名です。
もし寝ているときに、ブ~ンと耳障りな音が聞こえた日には、どんなに眠くともスックと起き上がり、確実に決着をつけるまで闘い抜きます。
血を吸う蚊はメスだけだといいますが、メスでもオスでも関係ない。吸いません(蚊だけに)と謝って出て行くまで、私の睡魔は決して訪れないのです。
今日はそんな私の蚊嫌いのお話です。
なぜこんなSランク級の蚊嫌いになってしまったのか・・・それには、私の幼少期のトラウマを紐解かねばなりません。
親戚の家で兄弟三人、川の字になって寝ているときのこと。あのうっとうしい羽音に、当時それはそれは可愛らしかった私は、目を覚まします。
薄暗い中、その蚊はまるでスポットライトに導かれるかのように、そこだけ月光に照らされた“むき出しの兄の足”に止まりました。無垢な可愛さとは裏腹に好奇心旺盛だった私は、そのまま黙って血を吸うところを見てみようと思ったのです。‥しかし、それは思いのほかグロテスクでショッキングな光景でした‥。最初は文字通りか細かった蚊のお腹に、みるみる真っ赤な血が溜まっていくと、最終的には「え?まだ?まだいくの!?嘘だろ破裂しちまうよ!?」というくらい、体が何倍にも膨れ上がっていったのです。そして重そうな体を抱えて蚊が飛び立つと、その直後からぷくぅ~っと漫画みたいに皮膚が膨れていったのには、本当に驚かされました。兄を見殺しにした罪悪感も重なり、それはひどく幼少期の私を傷つけました。それ以来です。血を分けた兄の血を吸っていった蚊を憎み、二度と兄と血を分けた私の血を吸わせまいと誓ったのは。
家には様々な対蚊用のアイテムがありますが、即効性のあるものはおしなべて臭いがキツく、使用する場合もしっかり目視でピンポイント攻撃するのは必至です。卑怯な無差別攻撃をしないのが、私と蚊のなかのルールです。
最悪刺されたとき用の塗り薬も用意していますが、蚊ハンター黒帯の私にとっては御守りみたいなもので、ほとんど使いません。
しかし、昨日は久しぶりに涼しい夜で、エアコンを使わず網戸で風通しをよくして寝たため、何日かぶりにヤツと遭遇しました。
パチッ(電気を付ける音)「面白い・・やろうじゃないか」ライバルに敬意を表し立ちあがる私。
「どこだ?どこだ?」と探すこと10分。皮肉にもその塗り薬の上でじっと止まっていました。
カーテンをばんばん、うろうろして飛び立たせ、白い壁に浮かぶヤツを追おうとしてもずっと隠れ通せたのも、もしかしたら薬効でぐったりしていたからなのかもしれません。
また勝ってしまった。
・・敗北を知りたい。
ちなみに、その後肘あたりがぷっくり膨れて、薬を塗って眠ったことは内緒です。
by 倉西