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ブラッシングやドライヤーが苦手なペットの慣らし方


記録的だった梅雨寒もようやく終わりを迎え、梅雨本来のじめじめ・ムシムシとした暑さになってきましたね。
人間でさえこの不快感ですから、全身を被毛に覆われた犬や猫は言わずもがなです。

湿度が高く、菌の繁殖しやすいこの季節は皮膚のトラブルも起こしやすく、ペットシッターのお世話でも「かゆがるような仕草は見せないか」「ずっと体の一部を舐めたりしてないか」「皮膚に炎症や脱毛箇所はないか」など、いつも以上に細かくチェックします。

こうした皮膚トラブル(湿疹・炎症)は通称「ホットスポット」と呼ばれ、ホットスポットはアレルギーや虫さされなど様々な理由で起こり得ますが、日常的な皮膚や被毛のケアも、その予防には欠かせません。

とはいえ、

「ブラッシングは嫌がるから・・・」
「足ふきもさせてくれない・・・」
「ドライヤーは逃げ出してしまう・・・」

といった悩みを抱える飼い主さんも多いでしょう。

私たちはシャンプーや肌ケアを単純に「気持ちがいいから」という理由もありますが、例え面倒でも“身だしなみ”または“自身の健康”や“衛生管理のため”と自分の利として理解することができます。
しかしペットはそうではありません。

なぜ不自由さを強いられて足を拭かれるのか(「拭く」という概念もおそらくないでしょうから、「無理やり足裏に何かをこすられる」)、なぜ不快な熱風に晒されなければいけないのか、なんのためにブラッシング中じっとしていなければならないのか、などを理由付けで理解していません。

「自分の体のため」という、人間でいう「得」が分かれば別ですが、そうでなければ動物にとって意味のないどころか、まして痛みや不快感をともなえば「損(嫌)」なことでしかありません。

ブラッシング、足拭き、ドライヤー、歯磨きetc‥これらが上手くいかない~と白旗を上げてしまう飼い主さんの多くは、ただただペットに「損」だけを与えてしまっているのかもしれません。

ギブアンドテイクの精神で、ペットにもそれに代わる「得」を与えてあげれば、多くの場合問題は解決します。
すでにドライヤーや足拭き行為が“大嫌い”で苦手意識がついてしまっていると、それこそ「ドライヤーを出す(見せる)」だけでフードをあげる、「足拭きタオルを手に持つ」だけでフードをあげる、という『慣らし』から始まり、これだけを何回も何日も繰り返し行います。

「(飼い主さんが)ブラシを手に取った」=「やった、美味しいオヤツがもらえるぞ!」と、まずは期待と経験を紐づけるのです。
そして、今度はブラシをペットの近くに置いてフード、ブラシの背中側(ピンの無い方)を軽く背中に触れさせてフード、と「見せるだけ」から「近くに」→「体にあてる」と徐々にステップアップしていきます。

これも、一日で全て達成しようと急いではいけません。
何日も、場合によっては何ヶ月もかけていいでしょう。

“ブラッシングは嫌な(痛い)思い”をするというネガティブな経験が、“いいことが起きる前触れ”とポジティブなものへと受け入れ方が変化し、体験が上書きされていきます。
ブラシ自体に慣れてきたら、そこで今度は初めてひとかきして、ご褒美のフード。そしてその日は、それだけでやめてしまいましょう。

こうした繰り返し、根気はいりますが少しずつのステップアップで、ドライヤーやブラッシング、足拭きは「なぜやるのか」という概念は分からなくても、難なく受け入れてくれるようになります。

このような話をすると、なかには「オヤツで釣ってるようで卑しいペットになる」と思われる方もいます。
しかし人間にだって、ドライヤーをすることの得、身だしなみを整えることの報酬はそれぞれあるのです。それが鏡に映る自己満足であったり他者の評価だったり、自分自身の健康管理のためだったり、人間社会の概念から備わったがあるのに、それらを「そんなもののために」と否定したりしませんよね?

ましてや、ペットには「外から帰ってきたら床が汚れる」とか、「濡れたらちゃんと乾かさなくてはいけない」という人間社会の概念は皆無です。人間の生活に引き入れておいて、人間都合の利のためにペットに「損」だけ与えるのは、そちらの方が横暴でかわいそうなことではないでしょうか。

もちろん、毎回フードじゃなくても、褒めたりオモチャで遊んだりペットが「快」に感じることであれば、その手段は何でも構いません。

梅雨を快適に過ごすためにも、ペットの皮膚ケア/被毛ケアは欠かせません。
これまでペットに逃げられてしまっていたなら、ぜひ今度は“良い関係”で行えるよう、こうしたトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

by 倉西

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