こんなおもしろい記事を見つけました。
「鼻」を使うことが犬を楽観的にするという研究結果
犬にも楽観的な子と悲観的な子がいると聞くと、「え?」と思われるかもしれませんが、これは本当です。
何か確固たる理由があるわけではないけれど、過去の経験などに基づいて「この先には何かいいものがある!」と目標に突進するタイプは楽観傾向が強く、「いやいや、何があるかわからないから用心しなくては」と様子を伺いながら進むタイプは、悲観傾向が強いと言えます。犬たちはまず、それぞれの楽観的傾向を調べるためのテストと訓練を受けました。これは認知バイアスのテストとも呼ばれるものです。
ある場所に置かれたボウルには常にトリーツが入っており、別の場所のボウルには入っていないという状況を作り、犬がそれを覚えるように訓練をします。
訓練の後、犬がボウルにたどり着く時間を計測し、時間が短いほど「トリーツが食べられる!」と楽観的な傾向が強いと判断します。犬たちは2つのグループに分けられ、一つのグループは嗅覚を使って、隠されたトリーツを探すノーズワークのクラスに参加します。
もう一つの対照グループは、飼い主の側にきれいに付いて歩く、ヒールワークのクラスに参加します。2つのグループの犬は、先の楽観的傾向のテストの結果がほぼ同じになるように分けられました。
2週間のレッスンの後、ノーズワーク組もヒールワーク組も、もう一度楽観的傾向を調べるテストを受けました。その結果、ノーズワーク組の犬はトリーツが「入っているかもしれない」ボウルにたどり着く時間が有意に短くなっていました。
対して、ヒールワーク組ではレッスン前の結果と変化がありませんでした。ノーズワークの何が、犬の楽観的な傾向を強くするという影響を与えたのでしょうか?
2つのアクティビティの違いを見ると、ヒールワークでは常に飼い主の側に付いていることが求められているのに対し、ノーズワークでは指示されたものを探すために、犬は部屋の中を自由に歩き回り自分の嗅覚によって判断をします。
また、嗅覚を使うというのも大きなポイントです。言うまでもなく嗅覚は犬にとって最も大切な感覚で、その大切な感覚を使うことは犬の自然な行動に適っています。犬にとって自然な行動をすることと、自分で判断や選択をすることは動物福祉における2つの重要な要素です。
2つの要素が満たされて犬の福祉が向上したことで、犬の楽観的な傾向が強くなったと研究者は結論づけています。
⇒参考記事
ちょっと文章だけじゃ、実験の概要が分かりにくいですねσ(^_^;)
ノーズワークのクラスに参加した犬の方が、トリーツの入ったボウルまで早く辿りつく(=楽観的)という実験結果は、よくよく考えると何も不思議なことではないような気もしますね。
自分の鼻を使ってトリーツを見つけ出す、ということをレッスンによって訓練されているわけですから、楽観的/悲観的というよりは、単に学習の結果が現れただけのような気もします。
もしヒールワークのレッスンがトリーツを用いるものなら(飼主の近くにいると「いいこと」が起こる)、犬は“何か”を見つけたときもそこに突進する必要なく、飼主と共に歩く方が結果的に「いいことが起きる」と学習しています。
一方ノーズワークに参加した犬は、“自分の鼻を頼りに選択する”ことが「いいこと」への近道ですので、訓練された通りの行動を起こすでしょう。
そう考えると、タイムの差が出るのは当たり前にも思えますね。
もちろん、実際の実験やレッスン方法を見ていないのであくまで想像ですが、しかしもし『鼻を使った犬の方が楽観的になる』ということが事実なら、これはこれで面白いし、とても説得力がありますね。
嗅覚は犬にとって最も大切な器官のひとつでもありますから、自分で嗅ぎ、情報を収集、判断し、行動を選択する、ということは、確かに犬本来の行動や福祉、環境エンリッチメントを高めることにもなります。
楽観的が○で悲観的は×、とは思いませんが、犬は食べ物の選択から散歩の時間まで、すべて飼主さんに委ねていますので、何かしらこうした自発的な犬の行動(鼻を使った)を楽しくサポートしてあげられたら、よりペットとの生活が豊かになるかもしれませんね。
by 倉西