自由に動き回るルンバがピンポイントで埃に向かって突き進み、気になるゴミを吸い取ってくれると、とても気持ちがいい。
もちろん、専用のコントローラーで思い通りに操縦しても同じ結果を得られますが、何といいましょうか、ルンバの自由意思(?)に任せたラッキーというか、ゴミを検知する頭の良さに「えらいぞ」という感情が湧きおこるのです。
“自己に都合よく、他者の行動が「思い通りになる」”ことの気持ち良さは、ロボットでもペットでも同じなのかもしれません。『いいこでお留守番できた』『来訪者に吠えなかった』『オスワリできて大人しくしてくれていた』などのように、動物の場合はそこに常に感情や信頼関係が生まれますので、また違った感動があるでしょうが。
逆にロボットの場合は、「出来て当たり前」というデジタルでドライな感覚があり、例えばリモコンの反応が悪かったりパソコンが重くなると、「思い通りいかない」ことでイライラしてしまいますね。
『犬のリモコン操作に成功』
これは、東北大学と麻布大学による「レーザーポインターで犬の進みを操る研究」についての記事です(詳しくは下記参照)。
東北大学と麻布大学が、装備させた4本の懐中時計で犬の進み方を操る研究をしています。これはレーザー・ポインターの光を追う犬の習性を、一歩先へと進めたもの。
これを使えば、才能のある犬の潜在的用途を拡大する可能性があるといいます。犬の視覚が確かな限り、搭載カメラやドローンなどを使い、簡単かつ安全に、犬に着せたチョッキの懐中電灯から犬の進行方向を操作できるのです。
光は馬の前に垂らしたニンジンのように前方を照らすので、犬がチョッキをちゃんと来ている限り、地面を照らす光を捕まえることはできません。ほかに注意を逸らすものが現れない限りは、光に導かれて歩いていくのです。
こちらの動画では、犬にレーザーポインターの出る懐中電灯付ジャケットを装着させ、光の位置をラジコンのようにオンオフで操作することで、犬を思い通りの経路で進ませ、目的地まで誘導しています。
これからどのように研究が進み、活かされていくのか分かりませんが、このように犬の習性を利用したもので、かつ心身共に負担の少ないものであれば、災害救助犬など危険な場所で活躍する犬自身の安全を守るためにも役立てられそうですね。
ただ、犬にこのような「機械」を装置することで、コントローラーを操作する感覚で“思い通りにいかない”場合に、それを動物のせいにしないか、また絶対に言うことを聞くように改良しないか、例えば犬に装着する機械で有名な「吠えたら痛みの電流を発し“思い通り”に操るような非人道的な考えや行動」に発展しないか、それだけが心配です。
ロボットを完璧に操作する感覚で、命や感情ある動物も同等に扱うのは大変危険ですからね。
動物もロボットも、コントロールする側の“心”が何より大事なのではないでしょうか。
家に帰ったらルンバがアイフォンの純正コードぐちゃぐちゃに食い込み“おしゃか”にしていたときも、私はぐっとこらえました。
by 倉西