「犬は時間の経過が分かる」という研究が発表されました。
今回発表された、ノースウェスタン大学の研究者による研究では、内側嗅覚皮質(MEC:the medial entorhinal cortex)が時間の長さという情報を処理することができることを発見しました。脳のニューロンが時計のように作動し、時間の経過を判断することができるというのです。
体験や出来事についての記憶をエピソード記憶といいますが、これには時間や場所、そしてそのときの感情が含まれます。研究計画の立案にあたりチームは、内側嗅内皮質が時間の把握に影響しているのではないかと仮説を立てました。
この仮説を検証するため、チームは”ドアストップ”と名付けた実験を行いました。マウスがバーチャルリアリティ環境で、実在するトレッドミル上を走るという実験です。
実験ではマウスは、途中に”閉じたドア”という障害物があるトラックを走ることになります。ゴールにたどり着き報酬を得るためには、閉じたドアの前で6秒待ち、ドアが開いたら再び走り出さなければなりません。
そして本番セッション。トラック途中のドアは目に見えないように”消され”ます。しかし、どこにドアがあるのかを把握しているマウスらは、ドアがあるはずの場所で6秒間待ち、6秒後にゴールを目指し疾走しはじめたのです。
「ここでの重要なポイントは、ドアが消されているために、マウスにはドアが開いているか閉じているかがわからないということです」
ドア前で止まると、空間情報をエンコードする細胞の活動は止まり、新たな細胞「タイミング・セル(timing cell)」の活動がはじまるのです。
これは大きな驚きであり、新たな発見です
時間の概念とは?
私たちは「時間」を1分は60秒、時計の長針が一周したら1時間、一年は365日ありどこどこまで行くにはだいたい何分くらいかかる、というように「概念」として認識していますが、動物たちはそうではありません。
しかし今回の研究で、かなり正確に“時間の経過”を認識していることが分かってきました。
たしかに、ペットと一緒に生活していて、ご飯やお散歩を催促されたとき「あ、もうそんな時間か」とかなり正確でびっくりすることがありますが、それは動物が本来持つ体内時計(動物が生まれつき備えていると考えられる時間測定機構。生物時計、生理時計ともいう)による行動周期の表れで、決して犬や猫が時計を見て時間を知らせてくれているわけではありません。
ペットは体験を通して学習し行動に表れる
「お散歩の時間になったらリードを咥えて持ってくる犬」はとても微笑ましいですが、「散歩の時間だぞ!とワンワン要求吠えする犬」には困ってしまいますね。
しかしこれ、どちらも生活リズムに組み込まれた行動に他ならず、「こうすればお散歩に連れてってくれる」ということを犬が学習しているに過ぎません。
もし「吠えても反応」しなければ、もし「お散歩の時間」がばらばらならば、このような行動が強化、習慣化されることはなかったでしょう。
ペットのお留守番には“安心出来る時間”を
そういった意味で「今」を生きるペットたちですが、今回の研究結果では「正確な秒数」も認識し得ることが分かってきていますので、“お留守番の時間”の長短もしっかり認識しているのかもしれませんね。
実際、ほんの数分出かけただけと、何時間も経ってからの再会では、犬の喜び度合いも全然違います。
ペットのお留守番は、「いつも飼主さんが帰ってきてくれる場所」か、「他の動物たちの匂いがする知らない場所」かでは大いに異なりますが、少しでも「その時間」が楽しく有意義なものになるよう、ペットシッターSOSではプロのシッターが全力で「楽しいひと時」をサポートさせていただきます。
後書き
実家の愛犬バーニーズは、1日4回に分けてご飯をあげていますが、しょっちゅう父親のところに来ては「お手」で体を押して催促します。
犬 トコトコ(お手)
父 「まだでしょ。さっき食べたばっかでしょ、まだ1時間も早いよ」
‐30分後‐
犬 トコトコ(お手)
父 「まーだでしょ。まだ30分しか経ってないでしょ」
‐1時間後‐
犬 グースピー
‐1時間半後‐
犬 グースピー
‐2時間後‐
父 「あ!ごめん、ごはん忘れてた」
犬 ピクッ!(尻尾ふりふり)
こんなことはしょっちゅうです(笑)
by 倉西