こんな記事を見つけました。
プラセボ(偽薬)効果はラットにも起こる それを観察する研究者にも起こる
痛みを伴う熱源に顔を近づけないと美味しいご褒美をもらえないことを学習させたラットのグループに、一方は痛みを鈍くするモルヒネを投与し、一方は鎮痛剤の代わりに生理的食塩水を投与する群に分けたところ、理解できることですが後者は美味しいご褒美にあまり興味を示さなかった。
数回これを繰り返したのち、研究者たちはどちらのラットのグループにも生理的食塩水を注射することに切り替えました。元からモルヒネを与えられていたグループは、もう鎮痛剤の効果がないにもかかわらず未だ熱に勇敢に立ち向かう姿勢を見せました。彼らにとって生理的食塩水はプラセボの役割だったのです。
<研究者側に起こりうるプラセボ効果とは>
お世話をする人のプラセボ効果は、研究者たち、もしくは動物の所有者が「この治療は効果的だ」と期待しているならば起こりえます。それは彼らが改善の報告をする可能性をより高くするからです。
例えば2017年の文献調査では、関節痛をもつ猫に関する5つの研究を再分析し、「プラセボを投じられた、およそ半数から4分の3の猫が改善した」と飼い主に分類されていたことが分かりました。しかし、より客観的な方法を用いると、10%から63%のみが実際に改善したということで、改善されたと思われたもののいくらか、そうでないならほとんどは、飼い主の頭の中でのことだということを示唆しています。
動物におけるプラセボ効果。それが臨床試験にどのように干渉する可能性があるのか。それは、思わぬ危険を最小限にするような研究を計画する助けとなるでしょう。なぜならその現象は、そうあるべきでないと思われたとしても間違いなく存在するからです。
プラセボ(プラシーボ)効果は、私も実体験として効果を感じたことがあります。
子供の頃、車酔いが激しかった私に、兄が「これは世界でも有数のめちゃくちゃ良く効く酔い止めの薬だ。噛まずに一気に飲み込め」と渡した薬。それを飲み込んだところ、あれ不思議、ピタッと車酔いが治まり、その後の何時間にも渡るドライブも快適に過ごせたのです。目的地に到着後、ただのラムネだったことを明かされました。
上のラットの実験の場合は、パブロフの犬のように「注射と痛みの和らぎ」の関連を条件付けされていた可能性もありますが、「すべての動物のプラセボ効果が条件付けで説明できるわけではない」と記事では説明されています。
また、「お世話する側」にもプラシーボ効果がある、というのは、大変興味深いですね。
動物は「まだ痛い」「少しよくなった」と言葉で教えてはくれませんので、その後の様子観察でこちらが推察するしかありません。その際、先の「めちゃくちゃ良く効く酔い止め薬」などといった『情報』は、飼主さんを大いに安心させ、ペットにもその効果がありきのフィルターがかかった見方をしてしまうかもしれません。
でも、「よかった、これですぐよくなるからね。もう安心だよ」という飼主さんの安堵が、感情を読みとるペットにも相応の安心感として伝わり、「よかった、そんな心配することじゃないんだ!」とプラシーボ効果の相乗効果を生む、なんてこともあるのかなと考えると、信じる力ってすごいものがありますね。
ちなみに、兄はその後も幼少期の私に「クルミを猿の脳みそ」と信じこませ、「絶対に沈まない木」といって渡した小枝で大人用のプールに飛び込ませる(溺れかけました)ことにも成功しています。
信じる力って怖い・・。
by 倉西